2015年6月21日

イギリスの小学校

ひとつの事例に過ぎないが、娘が通うイギリスの小学校について。

長期休みは、日本と驚くほど一致している。夏休みと冬休みはほとんど同じ期間。日本の春休みは、イギリスではイースターの2週間休みに相当し、年によって日が前後するが、時期・長さとも日本と大体同じである。

日本は3学期制である。イギリスでは、各学期の真ん中に1週間の休み(ターム・ホリデイ)があり、6学期制と見なせる。日本人である私や妻としては、この1週間休みをどう過ごしてよいか分からずうろたえる。イギリス人も、特に共働きの家庭(過半数)は、時にうろたえているように見えることがある。1日スポーツ教室などが開催されるが、それなりに高い。無料のイベントも探せばある。

長期休みも含めて、休み中には宿題が出ない。日本のように「夏休みの宿題」が何となく気になったまま休みが過ぎて8月下旬に突貫工事で仕上げる、という現象は起こらない。めりはりがついている。休暇は休暇。

学期末の放課後にディスコ・パーティがある。体育館で行われ、ミラーボールなどが現れる。

放課後に、歌クラブ、体操クラブ、理科クラブ、アートクラブ、などが、週1回、1時間 × 6週間程度しばしば開催される。1回平均800円程度。

小学校2年生までらしいが、クラスの皆を招いての誕生パーティが、頻繁に行われる。誕生日が近いクラスメートがいれば毎週のように招かれることもあり、子どもは楽しそうだ。

ブリストル市の小学校を知る限り、校庭は特に広くない。この点、特別なことはない。

今年から、小学校2年生まで給食が無料になった。去年は有料だったので、この変更は歓迎なのだが、給食にケーキやアイスなど、しょうもない甘いものが出る。イギリスに肥満が多いことは言うまでもない。ただし、「食生活を正そう」という啓蒙活動・教育は、小学校でも行われていて、イギリス人が食育に無関心なわけでは必ずしもない。今後に期待!? 我が家としては、家庭の食育が特に大事となる。

4歳入学である。早い! 4歳児は0年生ということになっていて、本格的な勉強が始まるのは1年生になってから。

公立小学校の入学は応募制であり、第3希望まで書く。日本のように学区内に住めば必ず入学できるわけではなく、人気のある小学校にはなかなか入れない。日本の保育園と似ている。学校からの距離が近い順に入学が決まる。定員は厳密に守られる。「何々小学校では、学校から 1.02km までに住む児童に入学許可が出ました」という情報が公開される。この競争は、小学校よりも中・高等学校の選択においてより重要である。学業が真剣になってくるからである。行きたい(公立)中・高等学校に子どもを入れるために学校の近くに引越す人が、結構いる。

親が登下校に付き沿う規則であり、親は大変である。ただし、高学年ではちゃんと守られていないように見える。

登下校や保護者面談などの父親の参加率は、予想通り日本より高い。「父親(や祖父)が小学校に来て子どもと一緒に昼食を食べる日」なんてのもある。

日本のような時間割は存在しないようである。

イギリス人は、日本人に比べてきっちり物事を決めて実行することが平均的に苦手であると思う。なので、宿題は頻繁に出るのだが、何をすべきかが不明確だったり、提出したか否かをチェックされなかったりする。ただし、すべきことが不明確なことには、よい面もある。自分で解釈してある程度創造的に行うことが求められるからである。答が決まってないことに取り組むのは、社会に出ると役立つはずである。自分の子はまだ小学校1年生なので、解釈や創造性を発揮しなければならないのは主に親であり、大変。

関係して、英語や算数などの細かな技術は、学校内の勉強をやるだけでは多分足りない。反復練習や体系的な積み立てが必要だ。この点、イギリスは日本にかなり劣る。我が家では、日本でやっていた公文(公文について以前に書いた記事はこちら)を継続し、英語のドリルや書き取りも加えて、毎日決まった量だけやっている。親は大変。

子ども間の比較をしない。先生と個別面談したりする機会は結構あるのだが、平均と比べてどうとか、標準はこの位なのでもう少しがんがりましょう、といった話は一切出ない。あくまで、自分の娘が絶対基準で今はどこに居て、次にどういう目標で何をするか、を話しあう。ただ、目標や今後の行動をしっかり決めても、タスクが全て実行されるとは限らず、日本人が仕事基準で期待するような精度よりは全般的に低い。ただ、今の担任の先生は信頼でき、精度も OK で、満足している。

子どもを能力別に分けて学習させることがある。算数で、到達度別に5個くらいのグループに分けて、それぞれの勉強を行う。

先生が自信を持っているように見える。素敵な先生が多い。ただし、地雷教師は少ないけど存在し、当たらないように祈るばかり。

学校側が、親のボランティアをよく募る。遠足に行くので子どもを見るヘルプに来れる人はお願いしますとか、教室での学習の手助け(本を読む係など)、通学時の交通整理、PTA など。うちは妹達もいるので今のところ到底無理だが、結構多くの親が手伝っている。この助ける精神がキリスト教と関係しているのか否か、現時点ではよく分からない。日本だと、皆やりたがらないので、学年の始めに全部の親に均等に仕事を割り振るなんて話も聞きました。

小さなことでも褒めどころを見つけて、子どもをよく表彰する。うちの子も、よく表彰状をもらってくる。全校生徒の前で受け取るらしいので、度胸の意味でもいい練習だ。